2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧

 映画の興行的・娯楽的祖先(6) ソーマトロープ フェナキスティスコープ

ソーマトロープ 紙の円盤の両側につけられた糸を指でひっぱると円盤が回転し、両面に描かれた二つの絵が重なって1つの絵になる。残像現象を利用した玩具で、映画との関係は残像現象を利用している以外はあまりないように思える。 片側が鳥、片側がカゴにな…

 映画の興行的・娯楽的祖先(6) ジオラマ

写真の開発者として知られるジャック・ダゲールが開発。パノラマに複雑な照明効果を加えたもの。半透明のイメージの上に前後からライトを当て、シャッターとブラインドで、照明と変貌効果を出した。昼と夜の変化などをつけたりもした。当時起こった大火災や…

 映画の興行的・娯楽的祖先(5) パノラマ

円筒形の建物の内側に装備された円筒状の巨大な画布(直径19〜40メートル)が中央に座った観客の周りをゆっくりと回転していく。画布にはだまし絵手法で様々な光景が描かれ、人々の目を楽しませた。 パノラマ劇場は1800年代のヨーロッパやアメリカの…

 映画の興行的・娯楽的祖先(4) ファンタスマゴリア

幻燈によるスペクタクルショー。1798年にフランスでロベールソンによって興行された。 場所はパリの廃墟となった礼拝堂。明滅する光と、轟く雷鳴の中、幽霊や骸骨、フランス革命で処刑された有名人たちが映し出された。 単にスライドが映し出されただけ…

 映画の興行的・娯楽的祖先(3) 幻燈

強力な光源を使って、スライドなどのイメージを白くスクリーンに投影したもの。 光源は当初、ろうそくやオイル・ランプによる弱々しいものだった。強い光源が得られ、拡大映写が可能になったのは19世紀から。また、当初はガラス板などに彩色されたスライド…

 映画の興行的・娯楽的祖先(2) 影絵

「人形や型紙などに光を当て、スクリーン上の影が演じる世界を楽しむ芝居や遊戯」(「映画史を学ぶクリティカルワーズ」*1より) 中国、トルコ、ジャワ島などでは古来から楽しまれてきた。19世紀以降はヨーロッパでも人気を博すようになり、多額の費用をか…

 映画の興行的・娯楽的祖先(1)

映画の興行的・娯楽的祖先ということで考えると、それは無数にある。「物語を人に伝える」ということで考えると、舞台や小説はもちろんのこと、オペラに詩、音楽に絵画など、切りがない。人を楽しませるものと考えると、マジックなども含まれてくるだろう。 …

 その他の開発者たち(4)

と、いろいろな人の名前を書いてきたが、名前自体は大して重要ではない。だが、これから紹介するエジソンやリュミエール兄弟の他にも、多くの人々が映像の機械について開発を行っていたということ、そして、その一部はかなりいいところまでいっていたという…

 その他の開発者たち(3)

映画機械を開発した人々の中で、最も興味深い人物がオーギュスタン・ル・プランスだ。なぜ、興味深いかというと、機械の開発を目前にして、彼は消息不明になっているからだ。 この人物については、「エジソンに消された男 映画発明史の謎を追って」(クリス…

 その他の開発者たち(2)

ウィリアム・フリーズ=グリーンはイギリスの写真家で、1887年にエジソンに映像と蓄音機の同調の話をして、エジソンを映像の研究に向かわせたという話が残っている人物(真偽は不明)。1887年には自らの光学器械店の店頭で映像の実演をし、1888…

 その他の開発者たち(1)

マレーによって、かなりのところまで映像の機械の完成度が高まっていったこの時代に、後に有名になるエジソンや、リュミエールの兄弟の他にも映像の機械の開発をしていた人々がいた。そのうちの何人かを紹介しよう。 ジョルジュ・ドゥメニはマレーの助手とし…

 エチエンヌ・マレー(3)

マレーは、1888年にロール式のペーパーフィルムを用いた撮影機での撮影に成功した。だが、フィルムの中心は一定ではなく、上下にズレていた。マレーは、この撮影されたフィルムのズレを欠点とは思っていなかった。マレーの興味はあくまでも動物の動きの…

 エチエンヌ・マレー(2)

「写真銃」は一定間隔で高速に撮影することができるだが、この段階ではまだ1秒間に撮れる枚数がまだ少ないし、まだフィルムではなくガラスの乾板を使用しているために1秒分しか撮影できない。 マレーも写真銃には不満を持っていた。だが、それは映像への応…

 エチエンヌ・マレー(1)

マイブリッジが行った実験は多くの人の知るところとなる。エジソンもその1人で、マイブリッジが作った連続写真が動く簡単な機械とエジソンの蓄音機をむすびつけた機械の相談を2人がしたという。 そんなエジソンよりも強くマイブリッジの実験に興味を持った…

 エドワード・マイブリッジ(2)

マイブリッジが撮影した写真をつなぎ合わせると、その後の映像で使われるフィルムに似ているように見える。だが、様々な面で異なる部分がある。 まず、それぞれの視点がずれているという点。1台のカメラで撮られたものではないため、当然のこととして中心は…

 エドワード・マイブリッジ(1)

エドワード・マイブリッジ。写真の発明についての話が終わり、そこから映像がどのように開発されていったかに話が移るときに必ず登場する人物だ。 マイブリッジが具体的にしたことは、馬が走る様子の連続写真を撮影したのだ。今考えるとあまりにも、大した事…

 写真 露出と複製の問題が解決されて

露出時間の問題は、映像の誕生における「機械」の問題だが、複製の問題は「映画」という社会的存在についての問題といえる。 露出時間は技術の進歩によってどんどん短縮される。1/100秒にまでなり、文字通り一瞬で撮影ができるようになったのは1851…

 写真 複製

複製についてどういうことかというと、もはやデジカメでしか写真を撮ったことがないという世代も現れているであろうが、フィルムのカメラの経験のある人は簡単にわかってもらえるだろう。ネガがあってポジがある。あれである。カメラはネガ(陰画、普通の写…

 写真 露光時間

露光時間について。当初、露光時間は、撮影に適した場所において15分くらいだったと言われている。「撮影に適した場所」というのは、どういう場所か?それは簡単だ。太陽光が強い場所のことである。つまり、当時写真を撮ろうと思ったら、強い太陽光を15…

 写真 ジャック・ダゲール

残像現象という現象が静止画の連続を映像として脳に認知させるのであるのだが、それを映画の機械で再現するために必要なものの1つに写真がある。映画初期の作品はサイレント映画であったため、映画はとりあえず映像であればよかった。この書き方は正確では…

 残像 ジョゼフ・プラトー

機械の話の前に、なぜ人は動画を見ることができるのかについて知らなければならないだろう。それは、残像現象と呼ばれる現象によるものだ。物体を見ていると、目に投影されたイメージはその物体がなくなってもしばらくは残っているという現象だ。現代では脳…

 映画前史を書くにあたって

これから、映画前史について書きます・・・と言っても、映画前史は幅が広すぎて、どこまで書けばいいのかわからないほどだ。 どういうことかというと、撮影機・映写機といった機械が完成するまでも映画前史だし、劇場に人を集めてスクリーンに投射されたもの…

 映画前史の参考文献

これから、とりあえずキネトスコープまでの映画前史について書いていこうと思うのだが、その前に、映画前史を書くにあたって「世界映画前史」以外に参考にした本を挙げておく。興味のある方は是非買って欲しい。買って欲しい最大の理由は、映画の本が売れる…

 ジョルジュ・サドゥール「世界映画全史」(その2)

ジョルジュ・サドゥールと「世界映画全史」だが、いろいろと難をつけられている部分もある。 まず、サドゥールが映画を「進化」してきたという考えを持っていた事。少し極端に言うと、リュミエール兄弟の映画が1ショットのみで、光景をただ撮影しただけなの…

 ジョルジュ・サドゥール「世界映画全史」

今日から、はてなダイアリーを使って映画の歴史について書いていきたいと思う。 そこで何から始めようかと考えたところ、まずはジョルジュ・サドゥールについて。 ジョルジュ・サドゥールはフランスの映画研究家、映画批評家。代表作は邦訳も出ている「世界…