2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

 マック・セネット映画の長編化

キーストン社を主宰していたマック・セネットは、この頃マック・セネット・コメディーズという会社に衣替えして、「HEARTS AND FLOWERS」(1919)といったコメディ映画を製作していた。 キーストン映画初期のうちは即興で作られていたセネットのコメディ…

 バスター・キートンとロスコー・アーバックルの別離

キートンとアーバックルは、この年公開作品では「初舞台」「田舎者」(1919)で共演をした。だが、アーバックルはジョゼフ・スケンクの元から、アドルフ・ズーカーのパラマウントの元へと移籍して、「LOVE」(1919)といった作品に主演する。3年…

 ロスコー・アーバックルとバスター・キートンのいたずら

1918年6月から兵役についていたバスター・キートンは、1919年6月にアメリカに戻っている。そして、ロスコー・アーバックルのために作られたコミック・フィルム社に合流した。この会社は、ジョゼフ・スケンクが株主で、西海岸のマック・セネット・ス…

 D・W・グリフィス 「グリフィス劇場」の夢

映画製作を続けていたD・W・グリフィスは、1919年にニューヨークへと移り、自身の邸宅をスタジオに改装して撮影を行っていくが、決して順風満帆とはいかなかった。当時のグリフィスについて、ジョルジュ・サドゥールはかなり手厳しく、次のように書い…

 D・W・グリフィスの映画製作と「ギッシュ時代」の到来

「散りゆく花」(1919)の他にもグリフィスは「勇士の血」「大疑問」「スージーの真心」(1919)といった作品を製作している。 パラマウント系の製作会社アートクラフト社で製作された「スージーの真心」の撮影においてグリフィスは、福音者たちの集…

 リチャード・バーセルメスがスターに

「散りゆく花」(1919)の主役の中国人役を演じたリチャード・バーセルメスは、スターとなっている。D・W・グリフィスは稽古の段階では、中国人の役を決めていなかったという。稽古自体はベテラン俳優で行われ、バーセルメスは稽古の様子を見ていただけ…

 「散りゆく花」とリリアン・ギッシュ

「散りゆく花」(1919)にリチャード・バーセルメスと共に主演しているリリアン・ギッシュは、ギッシュとD・W・グリフィスのコンビの十八番である不幸に押しつぶされる役を、細やかな感情の表現で見せてくれる。ローブに触れようとする指先が興奮で打ち…

 D・W・グリフィスの「散り行く花」

ユナイテッド・アーティスツの設立に参加したとき、D・W・グリフィスは生涯の頂点にいた。イタリアの作家・劇作家であるダヌンツィオはグリフィスのために脚本を送ってきたという。また、中国政府はアヘンの害悪を告発する映画をグリフィスに演出するように…

 ダグラス・フェアバンクス アメリカ的な生き方の伝道者

ユナイテッド・アーティスツを設立したダグラス・フェアバンクスは、ユナイテッド・アーティスツでの第一作として、「ダグラス大王」(1919)に出演している。「ダグラス大王」は、世界最高の客席数を持つニューヨークのキャピタル劇場のこけら落とし作品で…

 メアリー・ピックフォード 人気が絶頂に

ユナイテッド・アーティスツを設立したが、契約の関係でファースト・ナショナル配給作品を製作していたメアリー・ピックフォードは、人気の頂点に達していた。そんなピックフォードは、「想出の丘へ」(1919)という作品に出演している。ジルバのような踊り…

 アソシエイテッド・プロデューサーズ・コーポレーションの設立

ユナイテッド・アーティスツの設立は、多くの製作者や監督たちを刺激した。そして、1919年11月に、トマス・H・インス、ジョージ・ローン・タッカー、アラン・ドワン、マック・セネット、マーシャル・ニーラン、モーリス・ターナー、キング・ヴィダーらが参加…

 ユナイテッド・アーティスツ(UA)の設立

1919年4月、D・W・グリフィス、メアリー・ピックフォード、ダグラス・フェアバンクス、チャールズ・チャップリンという当時の映画界の大物たち4人が映画配給会社を設立している。それがユナイテッド・アーティスツ(UA)である。 元々はウィリアム・ギッブ…

 反ロシア革命映画とフォード・モーター

この当時、世界的な話題を呼んでいたロシア革命に対し、アメリカ政府はハリウッドに反ボリシェヴィキ運動に参加するように求めていたという。その一環として、「国民の創生」(1915)の原作者であるトマス・ディクソンの原作で「審理中のボリシェヴィズ…

 第一次大戦の終結と映画

この年の最大の出来事は、第一次大戦の終結であろう。ヨーロッパの映画製作の停滞と、アメリカ映画の世界的な発展に影響を与えた第一次大戦は、戦後も各国に影響を与えていた。 フランスでは、市民の生活は楽にならず、映画にも高い税金が課されてかつての繁…

 ニュース映画の誕生

映像が当たり前の存在になった私たちにとって、ニュースとは当たり前の存在である。テレビで、ネットで、携帯電話で、街頭の大型ビジョンで、映像は至るところに溢れている。しかし、映画が誕生するまで、ニュース映像などというものは存在しなかった。映像…

 アドルフ・ズーカーによる映画の等級分け

アドルフ・ズーカーが率いたフェイマス・プレイヤーズは、製作する映画をABCの等級に分け、製作費にも差をつけた。Aは舞台の有名俳優が出演する作品。Bは映画のスターたちが出演する作品。Cはフェイマス・プレイヤーズの大部屋俳優が出演する、最も制…

 「連続映画」観客の興味を引く努力の濃縮品

「連続映画」「連続活劇」と呼ばれるジャンルは、1910年代から1920年代に流行したもので、15分から20分程度の作品を、数週間に渡り連続で上映するスタイルのものである。「連続映画」が誕生した1910年代始めは、映画の上映時間はまだ短く、…

 ヒューゴー・ミュンスターバーグ 「映画劇」を読んで

当初は動く写真だったものが、「映画」として変化していった1910年代半ばに、映画について書かれた1冊の本がある。アメリカで活躍していたドイツ出身の心理学者・哲学者であるヒューゴー・ミュンスターバーグによる「映画劇」である。 「映画劇」は、映画…

 映画評「POLIDOR CAMBIA SESSO」

製作国イタリア ティベレ・フィルム製作・配給 監督・出演ポリドール イタリア映画初期から活躍して人気を得ていたポリドール監督・主演のコメディ。ひょんなことからガチョウを入手したポリドールは、結婚式のパーティを滅茶苦茶にしてしまう。最後は、ガチ…

 映画評「生恋死恋」

原題「BERG-EJVIND OCH HANS HUSTRU(THE OUTLAW AND HIS WISE)」 製作国スウェーデン スヴェンスカ社製作 監督・脚本・出演ヴィクトル・シェーストレーム 製作チャールズ・マグヌッソン 18世紀末のアイスランド。大地主の未亡人のところに、1人の男がやっ…

 映画評「ぶどう月」 ルイ・フイヤード監督作

原題「VENDÉMIAIRE」 製作国フランス ゴーモン製作 監督・脚本ルイ・フイヤード フランス映画の最初期から監督を務めたルイ・フイヤードによる愛国的な作品。 製作は第一次大戦中であり、敵国であったドイツ人を悪役として、フランス人の愛国心、強さ、した…