リチャード・バーセルメス 親切で単純なアメリカの田舎青年

 「東への道」の中で、リリアン・ギッシュとともに触れなければならない人物は、リチャード・バーセルメスだろう。親切で単純なアメリカの田舎青年という役柄を演じたバーセルメスは、以後もこの役柄を代名詞にスターとなっていく。そんなバーセルメスはD・W・グリフィスの元を去り、監督のヘンリー・キングと共に独立プロダクションを設立している。

 バーセルメスは、この当時のグリフィスお気に入りの男優だが、数年前までバーセルメスの立場にいたのがボビー・ハーロンだった。そのハーロンが、「東への道」が完成した頃に銃の事故で亡くなっている。ハーロンは自殺だったとも言われ、その原因はグリフィスがバーセルメスに眼をかけるようになったからだとも言われるが、実際のところはもうわからない。