映画評「MOTHER'S JOY」

[製作国]アメリカ [製作]ハル・ローチ・ステゥディオズ [配給]パテ・エクスチェンジ

[監督]ラルフ・シーダー [製作]ハル・ローチ

[出演]スタン・ローレル、エナ・グレゴリー、メイ・ローレル、ジェームズ・フィンレイソン、ジャック・アクロイド

 金持ちの男は、かつて自分が結婚を許さなかったために駆け落ちした娘と孫を探していた。娘と孫は見つかり、男は自分の孫と金持ちの娘を結婚させようとする。

 19世紀に多く舞台化されたタイプのステレオタイプなメロドラマのパロディと言われる。確かに、このタイプの作品は、映画草創期の作品にも多く見られる。代表的なのは、D・W・グリフィスの「東への道」(1920)だろう。

 ローレルは、駆け落ち相手、孫の赤ちゃん時代、成長した姿と何役も演じている。といった点以外は、あまり見所はないが、ラストがいい。お互いに嫌いだと宣言した2人だが、渋々結婚を認める。だが、牧師が「自分はこの2人が嫌いだ!」といって結婚の承認を拒否するのだ。

 ちなみに、ローレルの結婚相手を務めるメイ・ローレルは、ヴォードヴィル時代からローレルと一緒に舞台に立っていた女性だ。2人は結婚しようとしたが、メイは出身地のオーストラリアで結婚しており、相手が離婚を認めなかったのだという。という点を考えると、この作品で結婚が成立しないのも暗示的にも思えてくる。