映画評「IN YOUTH, BESIDE THE LONELY SEA」

※ネタバレが含まれている場合があります

[製作国]アメリ

 トマス・ベイリー・アルドリッチの詩とともに、若き青年が中年になるも、かつて見た妖精にインスピレーションを与えられる姿を描く。

 後のアベル・ガンス監督による「ナポレオン」(1927)を思わせる、3面を使って映しだされたスクリーンを1台のカメラで撮影したような作品となっている。「ナポレオン」のように3面に同時に異なる映像を映しだして「映像の交響曲」を目指したのではなく、下部にアルドリッチの詩を文字として映し出しながら映像として展開するための工夫のように感じられる。中年になった男が見る、「ピーター・パン」のティンカーベルのような妖精の美しさなど、映像の美しさが目を引く。

 実験精神と映像の完成度が感じられる作品だが、残念ながら作者不明である。センスと野心を兼ね備えた作者の名前はぜひ知りたい。