フランス シュールレアリスムの流れ 「時の外何物もなし」etc...

 1920年代に起こっていたシュールレアリスムの流れでは、マルセル・デュシャンによる「アネミック・シネマ」(1926)が作られている。実景のショットを素材としながら、映像や編集のリズムだけで成立させた純粋映画と呼ばれる分野では、画家マン・レイによる「エマク・バキア」(1926)、アルベルト・カヴァルカンティの「時の外何物もなし」(1926)や、アンリ・ショメットの「純粋映画の五分間」(1926)、パリの下町を舞台にして下層階級の町を映画詩的に描いた、ディミトリ・キルサノフの「メニルモンタン」(1926)が作られている。

 「時の外何物もなし」は、モンタージュによって映像にリズムをつけながら、ある1日のパリの生活を描いた作品である。ジョルジュ・サドゥールは、「アヴァン=ガルドにおけるドキュメンタリー映画の流れの最初の表明」(「世界映画全史」)と評している。

無声映画芸術の成熟―第1次大戦後のヨーロッパ映画〈1〉1919‐1929 (世界映画全史)

無声映画芸術の成熟―第1次大戦後のヨーロッパ映画〈1〉1919‐1929 (世界映画全史)