キーストン社の作品「LEADING LIZZIE ASTRAY」

 キーストン社製作。ロスコー・アーバックル監督、主演。

 ペテン師に騙されて街に連れて行かれた婚約者を追いかけて、ファッティは婚約者が働かされている街の酒場を探し出す。

 単純なストーリーだ。ファッティの婚約者は売春をするために捕まえられてように見える(1913年のヒット作「暗黒街の大掃討(TRAFFIC IN SOULS)」を見た後だとなおさらそう見える)が、それは暗示にとどめられている。映画はそういった暗黒面も吹っ飛ばしてラストのカオスへと向かう。

 比較的、おだやかに進むこの映画は、ラストに向かってカオスへと突っ走る。あまり関係がないはずのマック・スウェイン(後に「黄金狂時代」(1925)でチャーリーを食べようとする人)演じる粗野な男は拳銃を撃ちまくる。ファッティは婚約者を助けるために、突っかかってくる人間すべてを振り払う。

 こうしてやっと迎えた婚約者との平穏・・・と思いきや、まだ残っていた残党がファッティに襲い掛かってくる。ファッティは残党を壁に投げつけ壁をぶち壊し、さらには側に置いてあったピアノまで持ち上げて壁に投げつける。

 画面は滅茶苦茶な混沌。そしてこれが何とも豪快で気持ちがいい。ファッティの映画の魅力はこの豪快さにあるのだろう。