ヴァイタグラフ社の作品「FOX TROT FINESSE」

　アメリカのヴァイタグラフの作品。舞台で活躍していたドリュー夫妻が映画内の夫婦を演じている。

　フレディは無愛想な義理の母親に苦しめられているが、ある日義理の母親が旅行に出て行く。自由を得られると喜んだフレディだが、今度は妻のダンス狂いに付き合わせられる。嫌気がさしたフレディは足を怪我したフリをしてダンスから逃げようとする。

　キーストン社の作品が、キャラクターの濃さとドタバタの勢いで成立しているのに対し、この作品は練られたストーリーと人間関係で成立した作品といえる。

　細かいところにも配慮が凝らされている。冒頭のフレディが義理の母親に苦しめられている様子を、コーヒー･カップにコーヒーを注ぐことを要求されるフレディの姿に端的に、滑稽に表現されている。