映画評「SINKING OF THE LUSITANIA」 

 製作国アメリカ ユニヴァーサル・マニュファクチュアリング・カンパニー
 監督・製作・脚本・作画ウィンザー・マッケイ

 1915年にドイツ軍の魚雷によって沈没した客船ルシタニア号の様子を、ウィンザー・マッケイがアニメーションで再現した作品。

 「GERTIE THE DINOSAUR」(1914)で恐竜をアニメで甦らせマッケイが手掛けている。恐竜を実写で登場させるのが難しかったのと同じように、(当時の技術では)実写で再現するが難しかった巨大客船の沈没を極力リアリスティックにアニメにしている。しかし、工夫が凝らされているとはいえ、海や煙といった液体や気体の描写をリアリスティックに行うのが難しいことが伝わって来る。

 ルシタニア号の沈没は、アメリカの第一次大戦の世論を盛り上げた出来事と言われている。この作品が公開された時は、まだ第一次大戦終結していなかった(今以上にアニメの製作には時間が必要だったことから製作開始はもっと前)ことを考えると、この作品は著名なアニメーション作家の知名度を利用したプロパガンダ映画の意味合いが強かったと思われる。