映画評「INNOCENT AMBROSE」

 製作国アメリカ フローマン・アミューズメント・コーポレーション製作 監督・出演マック・スウェイン

 妻のドレスを台無しにしてしまったアンブローズは、マネキンごと新しいドレスを買うが、マネキンを愛人と勘違いされてしまう。

 ここに、駆け落ちをする男女が絡んで、誤解が誤解を呼び、悪いタイミングも重なっていく。サイト・ギャグで見せる作品ではないが、「すべてを知っているのは観客だけ」という観客の特権的な立場を効果的に使った、賢くて楽しいコメディだ。

 アンブローズは、マック・スウェインがキーストン社時代から演じてきた、太っていて憎めないキャラクターである。キーストン社を離れ、フローマン社でも同じキャラクターを演じていたが、経済的に成功しなかった。その影響もあり、フローマン社は1920年にアンブローズ物以外も含めた映画製作を中止している。