映画評「BE REASONABLE」

 製作国アメリ
 マック・セネット・コメディーズ製作 アソシエイテッド・ファースト・ナショナル・ピクチャーズ配給
 監督ロイ・デル・ルース 製作マック・セネット 出演ビリー・ビーヴァン

 ビリーは愛する女性のために真珠のネックレスを送るが、女性はマッチョなライフ・セーバーに惚れてしまう。ビリーは女性の部屋に忍び込み、クレジットで買ったネックレスを奪うが、大ぜいの警官に追われるハメになる。

 この作品は面白い。オリジナルのギャグは少ないものの、1つ1つのタイミングがよく、つながりもスムーズだ。

 オリジナルと思われるギャグもある。バーにやって来たビリー。壁には「OUR PUNCH HAS A KICK(私たちのポンチには、キックが入っている)」と書いてある。時は禁酒法時代。パンチとキックをかけて、飲み物の中にアルコールが入っていることを暗示している。だが、飲んでも決して酔いは回らない。文句を言うビリー。バーテンダーは、ビリーが座っているイスをグルグルと回転させる。ビリーは目を回して、酔った気持になって帰っていく。

 その他にも、溺れた犬を助けるために、ライフ・セーバーが砂の中から出した自転車に乗って助けに行くといったシュールなギャグ。ビリーが女性の部屋に忍び込み際に、足音をたてないために足に枕を縛り付けるといったギャグ。レンガでできた小屋の中で殴り合いのケンカが起こり、徐々に小屋が壊れていくカタストロフィのギャグ。そして、ビリーが大勢の警官に追いかけられる、数によるギャグ(バスター・キートンの1922年の作品「警官」を先取りしているという指摘も)。などなど、見どころが満載だ。

 アメリカのスラップスティック・コメディの始祖であるマック・セネットが製作しているが、どれだけ製作に関与していたかは分からない。だが、セネットの名前がついた映画が、楽しいスラップスティックであるというのは、何だか嬉しい気持にさせてくれる。