映画評「MANHATTA」

 製作国アメリカ 監督・撮影チャールズ・シーラー、ポール・ストランド

 写真家として活躍していたシーラーとストランドの2人が、ウォルト・ホイットマンの詩を字幕を織り交ぜながら、マンハッタンの様子を撮影した作品。シーラーにとっては初にして唯一の、ストランドにとっては初の映画製作となった。

 映画草創期に多く作られた、街の風景を撮影したものの延長線上にある作品だが、印象的なショットが続く。特に、海を航行する船を撮影したショットの美しさは言葉では説明できない。橋を捉えたショットや高層ビルの上から地上を見下ろしたショットなど、被写体に対するカメラの位置なども工夫されている。写真家ならではの2人による映像は、人間が関与することによって、映像に生命を与えることが可能なことを教えてくれる。

 アメリカ映画初のアヴァン=ギャルド映画とも言われるが、そう難しく考えてみなくてもよいのではないだろうか。当時のニューヨークの様子が美しく記録された、1つの映像詩である。こんなにも美しく記録されているニューヨークは、他のどの町にも増して幸せな存在かもしれない。