映画評「スタン・ローレルのドタバタ・アフリカ」

[製作国]アメリカ [原題]ROUGHEST AFRICA [製作]ハル・ローチ・ステゥディオズ [配給]パテ・エクスチェンジ

[監督]ラルフ・シーダー [製作]ハル・ローチ

[出演]スタン・ローレル、キャサリン・グラント

 ローレロ教授のアフリカ探検を撮影したかのように作られたコメディ。当時はアフリカなどの未開地を撮影した探検映画に人気集めており、そうした作品のパロディである。一連のストーリーはなく、妻との別れ、ダチョウやクマとの追いかけっこ、象やトラの捕獲などを、ギャグを交えてつづられた作品である。

 動物を使ったギャグは少し大味だが、遠景で撮影されたクマやダチョウに追われるシーンでは、2人がそれぞれ追われるショットを編集でうまくつないで、演出によっておかしさを生み出そうという意図が見られる。

 面白かったのは、細かいパロディ・ギャグの数々。例えば、「左から4番目がローレロ教授」という字幕の後に映る、猿に囲まれたローレロ教授の映像。アフリカ大陸の地図が表示され、目的地がすぐ近くにも関わらず、「迂回する必要があった」とアフリカを1周してから目的地へと向かうことが示されるアニメーション。恐らく、探検映画では多く登場した映像やアニメーションが、しっかりとパロディとなっている。

 当時の探検映画の中には、実際に現地には行かずに、別撮りした映像と現地の映像を組み合わせてものも少なからずあったという。「ドタバタ・アフリカ」もそうした手法で撮影されていることを考えると、「パロディだけど、本物もそう変わらないよ」という皮肉が込められた作品なのかもしれない。