映画評「アリスズ・エッグ・プラント」

※ネタバレが含まれている場合があります

[製作国]アメリカ  [原題]ALICE'S EGG PLANT  [製作]ウォルト・ディズニー・プロダクションズ  [配給]マーガレット・J・ウィンクラー

[監督]ウォルト・ディズニー  [製作]M・J・ウィンクラー  [作画]ローリン・ハミルトン、アブ・アイワークス、サーストン・ハーパー

[出演]アン・シャーリー

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 大量のタマゴの注文を受けた養鶏場のアリスだが、重労働に耐えかねたニワトリたちがストライキを始めてしまう。

 ディズニーが製作した、アニメの世界の中に少女が登場する「アリス」シリーズは、ヴァージニア・デイヴィスが主演していたが、「アリスズ・エッグ・プラント」はアン・シャーリーが主演している。だが、シャーリーは「アリスズ・エッグ・プラント」1作のみの出演で交代している。

 技術的にはそれほど目新しい要素はないが、内容が面白い。ニワトリたちは、共産主義者のニワトリにそそのかされてストライキを始めるのだ。当時のアメリカでは労働運動が盛んだった。最大で10万人の組合員を持ったより先鋭的で戦闘的な労働組合組織のIWW(世界産業労働組合)という団体があった。共産主義者のニワトリの持つカバンには「IWW」の文字が明記されており、明確に現実の労働運動を意識して作られている事がわかる。

 物語は、ストライキを起こしたニワトリたちにとまどいながら、知恵を働かせて5千個のタマゴをゲットするという展開を見せる。当時の世相や、IWWのような組織に対して反対の立場を取るディズニーの考え方が見える作品である。