映画評「KOKO TRAINS 'EM」

※ネタバレが含まれている場合があります

[製作国]アメリカ  [製作]アウト・オブ・ジ・インクウェル・フィルムズ  [配給]レッド・シール・ピクチャーズ

[監督]デイヴ・フライシャー

 恋人の愛犬の絵を描いてあげようとするアニメーターだったが、描いた犬の絵がいつの間にかココになってしまう。業を煮やしたアニメーターは、ココに犬を与えてサーカスの観客の前で芸を見せるように命じる。「ベティ・ブープ」シリーズなどで知られるデイヴ・フライシャーが監督した、実写とアニメを結合させた「アウト・オブ・ジ・インクウィル」シリーズの1つ。ピエロのココは、同シリーズではおなじみのキャラクター。

 オープニングが楽しい。ココが主人公のシリーズでは、工夫をこらしたココ登場のシーンが描かれるが、この作品では、アニメーターが何度も犬を描いてもココになってしまうのだ。このココの厚かましさには個性がある。

 その後も「家族のポートレート」「セオドア・ルーズベルト」など、お題に合わせた姿を見せる犬の芸も楽しい。大量のノミが逃げ出して、アニメで描かれたテーブルやブロンズ像、果ては肖像画までが体を掻くという展開も楽しい。実写とアニメが結合しているのが、このシリーズの特徴だが、アニメの中でも実写でもシュールなギャグを見せてくれている。

 インク壺にしまわれておしまいというのが、お決まりのパターン。ノミのせいで大混乱になった展開がどう収斂するのか楽しみだったが、ココがインク壺に飛び込んでおしまいという安易な方法だったのが少し残念だった。とはいえ、ココの個性も感じられ、楽しいギャグ満載で、ココのシリーズの中でも個人的にお気に入りの作品である。