リュミエール社作品集(16)

「鳥使い」

 チュイルリー広場。鳥に餌をやり、自在に操る鳥使いの様子を撮影。
 餌を持った手に向かって飛んでくる鳥の不自然な動きに、一瞬フィルムを逆回しにしているのかと思ったが、後ろの方の馬車が普通に走っているので違うことに気づく。
 この動きの不自然さはいったい何なのだろう?


「教会に入る結婚式列席者」

 花嫁を先頭に、多くの列席者たちが建物の中に入っていく様子を入り口の横あたりから撮影。
 花嫁は、シネマトグラフの技師だったモワッソンの妹で、モワッソン自身も花嫁の付き添いで映っている。


「工場の出口(リヨンのリュミエール工場)」

 工場の出口から出てくる労働者たちの様子を撮影。
 ナレーションではしきりに「初めての映画」と語っている。「工場の出口」には3バージョンあるらしく、この作品がどのバージョンかはわからない。
 とにもかくにも、リュミエール兄弟が撮影した最初期の作品の1つであることは確かだろう。屋外にも関わらず、映像が多少粗いのは、最初期の頃の作品だからだろうか?


「ウォーター・スライダー遊び」(1896)

 遊園地によくある池に向かって乗り物が滑り降りるアトラクションの様子を撮影。
 この作品は、前にも見たことがあった。そのときに、アトラクションを終えた男性が、戻ってきて係員に何かを言っているシーンが不自然だったのが、今回のナレーションを聞いてわかった。男性は、どうやら財布を池の中に落としたらしいのだ。
 当時、同じような人が続出したというから、ナレーションがなくても、当時の人は男性の行動の意味がわかったのかもしれない。映画と説明や解説の関係について、この作品は雄弁に語っている。


ヴェネツィアサン・マルコ広場の鳩」
 鳩に餌をやる女性の周りに群がる大量の鳩の様子を撮影。
 正装した女性は、カメラをかなり意識していて、途中でカメラに近づいてくる。
 しかし、そうすると足元の鳩たちが映らなくなってしまい、何のフィルムか分からなくなってしまう。