リュミエール社作品集(18)
「子犬の入浴」
父子が子犬をブラシでゴシゴシと洗う様子を撮影。
「頭にかごをのせた女」(1902)
カリブ海、マルティニク島。頭に根菜の入ったかごを乗せた女性たちが、列になって歩いていく。
彼女たちは、秤の上に一度乗ってから歩いていくのだが、ナレーションでも語られている通り、何のために秤の上に乗るのかがわからない。秤を見ている人物もいるのだが、別にメモを取っているわけではないし。
もしかしたら、映像にアクセント加えるための演出なのかもしれない。
「赤ちゃんコンクール」(1896)
子供たちが大勢集まって、幾組かの子供たちがダンスを踊っている様子を撮影。
ほとんどの子供たちが、カメラを意識している。
「ポスター貼り」
「シネマトグラフ グラン・フォー」と書かれたポスターを、ある男が「シネマトグラフ リュミエール・リヨン」と書かれたポスターに貼り変え、前のポスターを貼った男が怒って喧嘩となる様子を撮影。
当然ごとく演出された作品なのだが、シネマトグラフの名を語る偽者が多く登場したというから、そのことを題材とした作品なのかもしれない。
「田に水を送る水車」
灌漑のために川から田に水を送る水車を足で動かす日本人の男性の様子を撮影。
フンドシ姿になってから作業を始める(ナレーションでは、フンドシが野外労働の際の伝統的な格好と語られている)のだが、「映画伝来 シネマトグラフと明治の日本」によると、当時の日本では農作業でフンドシ姿になる風習はなかったらしい。どうやら、当時のフランス人が持っている日本人のイメージに合わせて演出されたのではないかということだ。
おそらく、私が気づかないだけで、様々な国で撮影されたリュミエール社のフィルムにはそういった演出が多々あるのだろう。注意深く見なければならない。