リュミエール社作品集(19)
「金魚鉢」
金魚鉢の中の金魚の様子を撮影。
光の反射具合が絶妙。ナレーションによると、1964年のカンヌ映画祭でルイ・リュミエールを称える上映が行われ、この作品をみたフリッツ・ラングが感嘆。「効果的な照明だ」と語ったらしいが、太陽光で撮影されているという。
対象を比較的遠くから撮った作品が多い中、金魚鉢にかなり近い位置から撮影されているのが珍しい。
「巨人と小人」
巨人と小人がレスリングのように組み合う様子を撮影。
事前に打ち合わせされた動きで、最後には小人が勝つ。ナレーションによると、おそらくイギリスのサーカスのものだということだ。
ピエロのコントはあったが、より珍しいものを見せる要素が強い。
「『人形』第2幕 司祭とマネキン」
主人公の男性が、マネキンを動かすシーンを撮影。
舞台の映画化だが、1分間のこのシーンだけではストーリーまではもちろん分からない。マネキンが動き出す様子を撮影したかったのだろう。
野外で、書割の背景を前に演じられている。野外なのは、書割が風で揺れているのがわかるからだ。この頃の映画についての本を読むと、書割が揺れて現実感が感じられないということが書かれているが、そのことがよくわかった。
ナレーションによると、マネキンは人間が演じている。
「ヴァレーズ号の進水」
巡洋艦の進水と、帽子を振って見送る人々の様子を撮影。
画面左側から浸水してくる巡洋艦は、カメラから比較的近い位置を通り、下の方しか見えない。そのことが逆に巡洋艦の大きさを感じさせる。
「進水の後:招待客と一般客の退出」
前の作品で巡洋艦を見送った人々が去っていく様子を撮影。
みんなカメラを意識して、手を振ったり、笑顔を向けたりしている。
1人の男が、カメラの前にニョキっと顔を出す。いわゆる、クロースアップだ。一瞬だけだが。