リュミエール社作品集(47)

動く歩道と電車」(1900)

 パリ万博。万博会場内を移動することができる動く歩道から、電車が走る様子を移動撮影。
 動く歩道を使った移動撮影と、動く電車という二重に動く要素が絡まった躍動感のある作品。
 なのだが、動く歩道が動いても動いても、電車との位置関係が変わらないように感じるのはなぜだろう?そんなに遠くを電車が走っているようにも思えないのだが。


動く歩道の上からのパノラマ」(1900)

 パリ万博。前の作品でも使われていた動く歩道から、万博会場の様子を移動撮影。
 移動速度は速過ぎることも、遅すぎることもなく、心地よいスピード感が得られる。
 被写体との距離・高さもぴったりとうまくはまったのだろう。
 ちなみに、動く歩道自体がどういうものかは、別の作品で見ることが出来る。


「刈り草干し」

 ピレネー。家族と思われる人々が、刈った草を干すために満遍なくならす様子を撮影。
 後ろには山がきれいに映っており、彼らがいつも働きながら眺めている光景の一端を知ることが出来る。
 列になった彼らが、少しずつカメラに近づいてきて、フィルムが終わる頃にちょうど通りすぎるようになっている。登場人物たちがカメラを意識しているところからも、演出が施されているであろうことが分かる。


「拳闘の練習」

 海軍の兵士たちが、並んでボクシングの型の練習をしている様子を撮影。
 ボクシングなのだが、途中で蹴りの動きも入る。とはいえ、動きは実践的とは思えず、あくまでも型の練習のように思える。
 多くの兵士たちが一糸乱れぬ動きを見せてくれるも、序盤で1人だけ少し間違える。この人物は後から散々仲間からいじられたことだろう。


「仏大統領とロシア皇帝がペテルホフに到着」(1897)

 正装した人たちが握手をしたりしている様子を撮影。
 直接被写体となっている人たちよりも、途中でカメラを遮るように撮影を始める別の映画会社と思われるカメラマンの存在がおもしろい。
 おそらく、撮影後に口論となったことだろう。