ジョルジュ・メリエスの超大作とその他の状況

 ニュース映画といえば、ジョルジュ・メリエスもトリック映画を撮影する一方で、再現されたニュース映画も撮影していた。その代表作とも言える「ドレフュス事件」が1899年に製作されている。実際の写真を基にして画面の構成などが練られたこの映画は15分を超える作品で、当時としては大作だった。当時、世論は反ドレフュスの意見の方が強かったが、メリエスは敢えてドレフュス擁護の立場で映画を製作している。その点から、メリエスは、トリック映画の先駆者であると同時に、社会派映画作家の先駆者でもあるという見方もできる。

 ニュース映画ではないが、メリエスは15分を超える大作として、当時人気を得ており、舞台化もされていた「シンデレラ」も製作している。

 「ドレフュス事件」「シンデレラ」は共に興行的に成功を収めた。15分を超える大作が人々に受け入れられたことにメリエスは自信を深めていく。その他にも最初期の伝記映画の1つである「クレオパトラ」も製作している。この作品では、重要の場面のみを描くという後の伝記映画のスタイルを確立しているという。

 スペインでは、フランクトゥオッソ・ヘラベルトがミニチュア撮影を行って「大西洋航路客室の衝突」という作品を監督したという。

 イギリスでは、ロバート・ウィリアム・ポールが、ロンドンのニュー・サウスゲイトに小型のスタジオを建設している。ガラスの屋根で出来ており、天気のよい日にはスライド式ドアを開いて撮影できる工夫もされていたという。

 フィンランドでは、サーカスの支配人J・A・W・グレンロースが巡回映画館ポホヨラ(北方)を設立したと言われている。