パリ万国博覧会

 1900年はパリで万国博覧会が開かれた年である。万博は(少なくとも当時の万博)は、世界の最先端の科学技術を見られる場所であり、映画関連の技術も多く発表されていた。

 シネマトグラフの成功から5年が経ていたリュミエール兄弟は巨大なスクリーンへの上映を行い、多くの観客を集めた。

 また、円形スクリーンへのパノラマ映写も行われた。

 蓄音機と映画を組み合わせたトーキー映画も出品されている。トーキーといっても、映像と音声の同調はきちんとなされておらず、蓄音機の音を聞きながら、映写技師がクランクを回す速度を調整するというものだった。また、蓄音機に録音された音声自体も、聞きとりにくいものだったという。

 パリ万博では、映像に関する技術が多く公開されていた。これらは直接すぐに映画に応用されたわけはなかったが、巨大スクリーンはシネラマへと、蓄音機によるトーキーはフィルムに音声を記録するトーキーへと、数十年の時を経て応用されていくことになる。