アメリカにおける特許戦争

 以前より、他の映画会社をエジソン社の特許に触れているとして提訴していたエジソン社は、昨年の判決で敗訴していたが、控訴審で一部勝訴の判決を得る。さらに、シカゴでは映画製作会社のシーリグ社からエジソン社側の全面勝訴の判決を得る。

 一方で、シカゴでは映画は未成年に悪影響があるものとして、検閲規則が規定された。これは、警察署長にフィルムをカットしたり、上映中止したりできる権利を与えたものだが、実際に行使されたことはなかったといわれている。

 このエジソン社勝訴の判決と検閲規則の規定は、映画製作会社を動揺させた。

 エジソン社側は、映画の賃貸・上映をする者は10セントを支払えば、製作・上映を許可するという条件を提示した。この条件を受け入れれば、各社の様々な権利は守られるとも謳った。また、検閲に対する対抗手段も取りやすくなると謳った。シーリグ社、ヴァイタグラフ社(当時、1ヶ月に6本程度の映画を撮影していた)、エッサネイ社といった大手映画会社はその条件を受け入れることとなる。