エジソン社が実験的に製作した作品

 これからしばらく、1911年までに作られた映画の中から、私が見た作品について紹介していきたい。

 リュミエール社やジョルジュ・メリエスの作品についてはすでに触れたが、それ以外の作品を紹介していく。

 映画が誕生した年は、フランスのリュミエール兄弟の有料での公開に合わせて1895年とするのが通例だ。だが、リュミエール社の一般公開前に作られた実験もかねた作品があった。同時期にアメリカではトマス・エジソンも研究を進めており(実際に研究を行っていたのはウィリアム・ディクソンだが)、エジソンにも実験的に撮影された作品があった。

 次に挙げる作品は、エジソン社で実験的に撮影された作品である。


「MONKEYSHINES(no.1,no.2)」(1888 or 1989)

 当初エジソンは、シリンダに小さい連続写真を貼り付けるという、蓄音機と同じ方法で映像化の道を探っていた。この方法は失敗に終わる。この作品は、シリンダ方式で試験的に撮影されたもの。

 人のような物体が何か動いているということはわかるが、それ以上はぼやけていてよくわからない。


「DICKSON GREETING」(1891)

 エジソン社の映画開発の第一人者だったウィリアム・ディクソンが、帽子を取ってあいさつするシーンが撮影されているが、数秒で終わる。

 この作品は、初めてエジソンが関係者外の人物に公開した作品と言われている。ちなみに、この作品のフィルムをDVDで見ることができるが、現在とは異なり、フィルムの下側にのみフィルムを送る送り穴(パーフォレーション)がついている。


「NEWARK ATHLETE(WITH INDIAN CLUBS)」(1891)

 少年が体操で使う棍棒を回す様子が撮影。これも数秒で終わる。


「MEN BOXING」(1891)

 2人の男性がボクシングをする様子を撮影。
 実際のボクサーではなく、普段着の2人の男性がポーズを取っており、実際に殴り合うわけではない。
 この後、本物のボクサーを呼んで撮影するためのカメラリハのような印象を受ける。


(DVD紹介)

Edison: Invention of the Movies [DVD] [Import]

Edison: Invention of the Movies [DVD] [Import]

映画初期のエジソン社製作の映画を大量に見ることができる4枚組DVD−BOX。各作品についての解説(英語)もあり、かなり親切な作りになっている。

注意!・・・「リージョン1」のDVDです。「リージョン1」対応のプレイヤーが必要です。