アメリカン・ミュートスコープ・アンド・バイオグラフ社の作品 1904年(2)

WESTINGHOUSE WORKS」

 アメリカン・ミュートスコープ・アンド・バイオグラフ社(後にバイオグラフ社となる)の作品。

 当時、世界最大級の工場を保有していたWESTINGHOUSE社の工場の様子、女性たちが自動糸巻き機に綿を送る様子、仕事を終えた工員が工場から外に出る様子の3編からなる。全部で21編が作られ、日本でも人気を呼んだのだという。

 工場のシーンでは、屋根から吊るしたカメラをゆっくりと前方に移動させながら広い工場内が撮影されている。このシーンは工場の広さがよくわかるだけではなく、この大規模な撮影に協力することができたという点で、WESTINGHOUSE社の大きさがわかるというものだ。

 工員が工場から外に出てくるシーンは、リュミエール兄弟による有名な「工場の出口」とまったく同じ構図となっている。出口を正面に捉え、工場から出てくる人々の様子を撮影している。違いはといえば、工場から出てくる工員たちの多くが走ってどこかへ行くところと、リュミエール兄弟の工場よりも多くの工員が出てくるところだ。次から次へと出てくる工員の数には圧倒させられるものがある。だが、一方で、工場の中に閉じ込められていた人々が一気に解放されるのを見るようで、当時の工場での労働の過酷さが伝わってくるようだ。



(DVD紹介)

More Treasures From American Film Arch 1894-1931 [DVD] [Import]

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アメリカ国内のフィルム・アーカイヴ所蔵の映画の中から選出した貴重な作品群を集めた3枚組みDVD。

注意!・・・「リージョン1」のDVDです。「リージョン1」対応のプレイヤーが必要です。