エジソン社の作品 1907年(7)
「A LITTLE GIRL WHO DID NOT BELIEVE IN SANTA CLAUS」
クリスマス。友達同士の少年と少女。少年は金持ちだが、少女は貧しい。少女は自分のところには来てくれないサンタ・クロースを信じていない。そんな少女のために、少年はクリスマスの夜にやってきたサンタを脅して、少女の元にプレゼントを届けさせる。
甘い甘い話だし、サンタ・クロースを現実に存在するものとしているにも関わらず、少年が脅さないと少女の元にプレゼントを届けないという根本的な矛盾を抱える話だし、結局は金持ちが貧しい少女のために「してあげる」という上からの目線の映画なのだが、なかなか感動的だ。
冒頭のロケ撮影。雪道にたたずむコートを着てない(買えない)少女に少年が自らのコートを着せてあげる。吐く息の白さを感じさせるロケ撮影が素晴らしい。
少年の家でクリスマスの話を聞いた少女が、家に帰って母親に靴下を煙突の下にぶら下げようと提案するが、母親に断られるシーン。貧しい母親には少女を抱きしめ、少女に見えないようにそっと涙をぬぐうことしか出来ない。
撮影は舞台を撮影するような視点で撮られ、ストーリー・テリングの技法が優れているわけではないが、クリスマスという楽しい日の貧しい家庭という設定といい、心温まる話を15分弱にまとめた手法といい、なかなか素晴らしい作品だと思う。
エジソン社の作品には、時折貧しい人物など社会の底辺に生きる人々が取り上げられる。その中には「EX-CONVICT」(1904)や「KLEPTOMANIAC」(1905)など、素晴らしい作品も多い。
この作品にはジョルジュ・メリエス流のストップ・モーションを使った入れ替えのトリックが使われている。サンタ・クロースがクリスマス・ツリーを出すというもので、ストーリーとうまくマッチした使われ方をしている。メリエスもストーリーとトリックを融合させる方面に進んでいれば、また違った展開があったかもしれない。
エドウィン・S・ポーターとサーリー・ドーリー監督作
(DVD紹介)
Edison: Invention of the Movies [DVD] [Import]
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映画初期のエジソン社製作の映画を大量に見ることができる4枚組DVD−BOX。各作品についての解説(英語)もあり、かなり親切な作りになっている。
注意!・・・「リージョン1」のDVDです。「リージョン1」対応のプレイヤーが必要です。