デンマーク ノルディスク社の作品 「VED FAENGSLETS PORT」

[製作国]デンマーク [英語題]TEPTATIONS OF A GREAT CITY [製作・配給]ノーディスク・フィルム
[監督]アウグスト・ブロム [撮影]アクセル・グラートクヤーエル [出演]ヴァルデマー・プシランデル

 遊び癖のある青年が作った飲み屋などのツケを支払う母親。1人の女性と恋仲となるが、母親は許さずに勘当される。浪費癖が直らない青年は、母親のサインを偽造して金貸しから金を借りる。それでも追い詰められた青年は、実の母親の家に泥棒に入る。

 当時世界で人気のあったデンマーク映画において、スターとして活躍したヴァルデマー・プシランデル主演作品。同じくデンマーク映画界でスター女優として活躍したアスタ・ニールセンの作品と同様に、母と息子のメロドラマとなっている。

 母親の演技に代表される舞台的な演技や演出は、同時期にアメリカで作られていたD・W・グリフィスの短編のような切れ味はない。だが、泥棒に入った青年を見つける母親のショットを鏡に写しだして見せることでクロース・アップに似た効果を上げようとしているなど、工夫は見て取れる。また、プシランデルの演技は抑えられているのが特徴的だ。

 当時まだ15分程度の短編が多かった世界の映画化において40分程度という長尺だったことも人気を呼んだ理由の1つだろう。

 今見ると単純で退屈なメロドラマかもしれないが、当時において人気を呼んだ理由はあちこちに散りばめられている。