デンマーク ノルディスク社の作品 「DESDEMONA」

 デンマークノルディスク社による作品。ノルディスク社の作品を多く監督したアウグスト・ブロムが監督。

 ウィリアム・シェイクスピアの「オセロ」をモチーフに、「オセロ」で悲劇的な結末を迎える主演の男女を演じる2人の俳優が、実生活でも「オセロ」と似た嫉妬に満ちた関係となり、悲劇へと突き進む。

 アイデアが秀逸で、文芸作品を得意としていたというデンマーク映画界の実力のほどを知ることができる。実生活の嫉妬が最後には舞台に持ち込まれていき、舞台の脚本通りにオセロ(役の男性)は、デズデモーナ(役の女性)を殺してしまう。複雑に入り組んだ悲劇は、まるでシェイクスピアをモチーフにしながら、シェイクスピアを超えようとすらしているかのようだ。ただ、「オセロ」自体を知らないと面白さを理解することは難しいという難点もあり、万人が楽しめる作品ではない。

 また、登場人物が個性に乏しく、どのような役割を果たしているかで判断する必要があるため、見ていてすぐに状況が掴みにくいといった難点もある。同時代のD・W・グリフィスの映画を見ると、キャラクター分けがはっきりとされているため、すんなりとストーリーに入り込むことができる。この差は大きい。

 難点は数々あれど、20分強の短時間に秀逸なアイデアが見事に詰め込まれた作品といえるだろう。今、リメイクしても面白いのではないかと思うくらいの秀逸なアイデアだ。