「リチャード三世」 イギリス Co-operative Cinematograph社の作品 1911年

「RICHARD Ⅲ」

 イギリスのCo-operative Cinematograph社による作品。

 ウィリアム・シェイクスピアの「リチャード三世」の映画化。当時の有名なシェイクスピア劇団の上演を映像に収めた作品で、当然セットで行われている。「リチャード三世」の舞台劇を撮影したといった感じの作品となっている。入れ代わり立ち代わり、様々な人物が登場する複雑なストーリーなのだが、舞台を撮影したスタイルのため、登場人物の特徴をつかむことができない。原作の舞台劇を知らない人には、ストーリーを追うのも難しいと思われる。

 この当時、D・W・グリフィスは舞台を撮影したようなスタイルから抜け出し、映画的にストーリーを語る作品を生み出していた。また、この作品と同年に監督された「IN HIS TRUST」(1911)では南北戦争の戦闘シーンをロケ撮影で行うことで、リアル感を持ってフィルムに収めることに成功している。対して、この作品の中世の戦闘シーンは舞台そのままを映し出したかのようだ。

 元々が、劇団の上演の撮影が目的で作られた映画であるから、技法がどうのこうのと言ってはいけないかもしれないが、物足りなさを感じてしまった。



(DVD紹介)

「SILENT SHAKESPEARE

 サイレント期に映画化されたシェイクスピア原作の映画を集めた作品集。興味深い作品が並んでいるが、基本的に原作を知っている人向けの作品がほとんどのため、「楽しむ」のは少し難しいかもしれない。

 アメリカのamazonから輸入して買うことができるが、もちろん英語。それでも買いたいと思う人は、下記サイトが参考になります。

http://dvd.or.tv/
 
注意!・・・「リージョン1」のDVDです。「リージョン1」対応のプレイヤーが必要です。