アリス・ギィの作品 1912年(2)

「FALLING LEAVES」

 1890年代後半からフランスのゴーモン社で映画草創期の映画を監督し、その後アメリカへ渡っていたアリス・ギィが、自身も設立に参加したソラックス社で監督した作品。

 季節は秋。結核にかかったひとりの少女。医者は家族に、「最後の一葉が落ちる頃には亡くなるでしょう」と告げる。それを聞いた少女の妹は、何とか少女を助けようと、作り物の葉っぱを木にくくりつけようとする。そこへ偶然通りかかった1人の医者。医者は結核の治療法を知っていて、少女は助かるのだった。

 オー・ヘンリーの「最後の一葉」をモチーフにした内容である。治療法の宣伝のための作品なのではないかと最初は思った。有名な文芸作品や出来事を使って宣伝を行うことは、現在でもよく使われている手法でもあるし、アメリカでのアリス・ギィは「Making an American Citizen」(1912)といった社会啓蒙的な作品を手がけているからだ。しかし、結核の特効薬であるストレプトマイシンが開発されたのは1944年の話であり、この物語はフィクションである。

 フィクションと考えると、オー・ヘンリーの物語をうまく改変している功績はあるとはいえ、それ以外は取り立てて特徴に欠ける作品といえる。



(DVD紹介)

More Treasures From American Film Arch 1894-1931 [DVD] [Import]

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アメリカ国内のフィルム・アーカイヴ所蔵の映画の中から選出した貴重な作品群を集めた3枚組みDVD。

注意!・・・「リージョン1」のDVDです。「リージョン1」対応のプレイヤーが必要です。