アリス・ギィの作品 1912年(1)

「MAKING AN AMERICAN CITIZEN

 ゴーモン社で世界初の女性映画監督として活躍したアリス・ギィがアメリカで撮影した作品。ギィ自身も設立に参加したソラックス社が製作。

 ロシアから移民としてアメリカへやってきた夫婦。妻を虐待していた夫は、アメリカの法制度の下で6ヶ月の強制労働を経て、やさしい「アメリカ市民」として戻ってくる。

 まるでアメリカ政府によるプロパガンダ映画ともいえる内容。見るからに凶暴そうなロシア人移民に、女性に親切なアメリカ人という対比といい、最後にはアメリカの法制度が夫をやさしくするという展開といい、露骨に過ぎるほど、「アメリカはいい国だ」という内容となっている。

 このあまりに極端なプロパガンダぶりは、今からみるとコメディのようにも見え、そういった楽しみ方もできる。

 ちなみに、この作品には「フェミニスト映画」だという意見と、「フェミニスト映画ではない」という意見がある。私が感じた印象では、女性は「優しく、正しい」アメリカ人男性に守られるべき存在として描かれていることから、「フェミニスト映画」というよりは、やはりそんなアメリカ人男性による「アメリカ」という国のプロパガンダ映画の印象を受けた。



(DVD紹介)

「The Movies Begin - A Treasury of Early Cinema, 1894-1913」

 初期の映画を多く見ることができる5枚組みのDVD。リュミエール兄弟エジソン社、ジョルジュ・メリエスを始め、イギリスのブライトン派と呼ばれた人々など、日本ではなかなか見ることができない作品を見ることができる。

 アメリカのamazonから輸入して買うことができるが、もちろん英語。それでも買いたいと思う人は、下記サイトが参考になります。

http://dvd.or.tv/
 
注意!・・・「リージョン1」のDVDです。「リージョン1」対応のプレイヤーが必要です。注意!・・・「リージョン1」のDVDです。「リージョン1」対応のプレイヤーが必要です。