アメリカ THANHOUSERの作品 1912年
「DR.JEKYLL AND MR. HYDE」
THANHOUSER製作 モーション・ピクチャー・ディストリビューターズ・アンド・セールス社配給
原作ロバート・スティーヴンソン 出演ジェームズ・クルーズ
有名な「ジキル博士とハイド氏」の舞台版の映画化。アメリカでは2回目の映画化だという。
舞台版の映画化であり、原作よりもロマンスの部分が多くなっているという。だが、11分の物語なので、あまり大きな影響はないように思える。
コンパクトに上手くまとめられているという印象を受けた。
ちなみに、主演のジェームズ・クルーズは後に「幌馬車」(1923)を監督することとなる。
「THE CRY OF THE CHILDREN」
THANHOUSER製作 フィルム・サプライ社配給
出演マリー・エライン、ジェームズ・クルーズ
夫婦と3人の子供の5人の貧しい一家。一番末の娘のマリー以外の4人は、工場で働いている。ある日、工場主の妻がマリーのかわいらしさから、マリーを買い取ろうとするが両親は拒否。そんな中、母親が病気で倒れ、幼いマリーまでが働かなければならなくなる。
同年にエジソン社からも、同じ子供の労働に反対する作品である「CHILDREN WHO LABOR」(1912)が製作されている。このことからも、子供の労働が当時の社会問題となっていたことがうかがえる。
この作品には、解決策は提示されていない。ただ、悲惨な家族の状況と、苛酷なマリーの運命が描かれるだけである。また、資本家側の妻が自分勝手の嫌な人物として描かれている。マリーのかわいらしさから買い取ろうとするが、その愛情がペットで代用されるとマリーを冷たく扱う姿は、見ていて辛い気持ちにさせられる。
「PETTICOAT CAMP」
THANHOUSER製作 フィルム・サプライ社配給
キャンプに来ている数組の夫婦。夫は釣りに行ったり、猟に行ったりして楽しむが、妻たちは食事の準備や後片付けで遊ぶ暇がない。そんな状況に怒った妻たちは、ストライキを起こして別の場所でテントを張る。
コメディの体裁で、15分の短時間を楽しませてくれる。一方で、男女の役割分担への批判とも取れる作品となっている。