D・W・グリフィスの作品 1912年(6)

「THE LESSER EVIL(邪悪)」

 D・W・グリフィス監督作品。バイオグラフ社製作。

 強盗団と思われる一団が船に荷を積んでいる。それを目撃してしまう1人の少女。一団のボスは少女を誘拐して、船を出港させる。それに気付いた少女の恋人は、モーターボートで追いかける。一方、強盗団の船の上では手下たちが、横暴なボスに対してクーデターを決行。孤立したボスは、このままでは少女が手下たちにひどい目にあわされると思い、銃の最後の一発を少女に向けるが、そこに少女の恋人たちが助けにやってくる。

 強盗団の船と、誘拐された少女の恋人のモーターボートのクロス・カッティングによってサスペンスを生み出すだけではなく、そこに強盗団内でクーデターが起こるという事態をプラスして、より緊張感のある内容となっている(とはいっても、最後に当然少女は助かるのだが)。

 この作品では、海上の追いかけっこのほかに、銃撃戦というアクションも見せてくれる。また、最後はちょっとした人情話にもなっている。バイオグラフで短編を監督していたこの頃のグリフィスは、本当に幅広いジャンルの作品を監督している。アクション、サスペンス、ラブ・ストーリー、ドラマ、社会派作品・・・・まるで1人でこれからの映画の歴史を先取りしているかのようだ。



「Biograph Shorts 」

 バイオグラフ社監督時代のD・W・グリフィスの作品を集めた2枚組DVD。ほぼ15分程度の短編が、全23作品収められている。デビュー作「ドリーの冒険」も収録。

 アメリカのamazonから輸入して買うことができるが、もちろん英語。それでも買いたいと思う人は、下記サイトが参考になります。

http://dvd.or.tv/


注意!・・・amazonでは「リージョン1」となっていますが、私が持っている日本国内用の「リージョン2」のプレーヤーでも再生できました。リージョンは「オール」と思われますが、実際に購入して見られなくても責任は負いません。