デンマーク映画(1914年)

 デンマークではこの年、カイ・ヴァン・デア・オー・クーレ演出の「黄金の角笛」(1914)がダンマーク社で製作されている。伝統的な魔除けの行方を数世紀に渡って追う物語だった。

 また、A・W・サンベア監督の「九本の指の男」シリーズが、1914年から1916年にかけて合計5本製作されていく。

 後に「魔女」(1922)などを監督するベンヤミン・クリステンセンが、「密書」(1914)を製作・監督・脚本・主演している。スパイの嫌疑をかけられた海軍将校が、銃殺刑直前に助けられるという内容の作品である。光と影を様式的に用って表現的な場面を見せる演出法は個性的で、同時代のいかなる映画作家の演出とも異なるという。この作品は、世界中で大ヒットしたと言われている。

 クリステンセンは、舞台から映画界入りした人物で。ダンスク・ビオグラフ社の「運命のベルト」(1911)に初出演した後、活躍を続けており、1913年にはダンスク・ビオグラフ社の社長となっていた。

 

(映画本紹介)

無声映画芸術への道―フランス映画の行方〈2〉1909‐1914 (世界映画全史)

無声映画芸術への道―フランス映画の行方〈2〉1909‐1914 (世界映画全史)

映画誕生前から1929年前までを12巻にわたって著述された大著。濃密さは他の追随を許さない。