イタリア喜劇の衰退と未来派映画

 イタリアでは喜劇も盛んだったが、この頃になると喜劇スターは名前を消し始め、何人かの俳優が喜劇的な効果を狙うという普通の形の喜劇が作られるようになってきた。

 アンブロージオ社製作、ロビネット主演の「足の恋」(1914)は、出会い、激しい恋、決闘、情事、ハッピー・エンドといった内容が俳優たちの足のカットで描かれるという手法で作られており、10分間のアヴァン・ギャルド映画を思わせる作品だったという。

 未来派と呼ばれた芸術運動に呼応して、イタリアにおいてもアヴァンギャルド的な映画が製作されていたが、1914年には、アルノルド・ジンナがいくつかの短い抽象映画を製作している。



(映画本紹介)

「世界の映画作家32 イタリア映画史/イギリス映画史」(キネマ旬報社

 イタリアとイギリスの草創期から1970年代までの歴史の把握には最適の1冊。
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