イギリス映画(1914年)

 イギリスでも、戦争映画、戦意高揚映画が作られた。一方で、イギリス文学や歴史上の大事件に扱った文芸映画も製作されていた。

 元はウィル・C・バーカーの元で働いていたG・B・サミュエルソンは、アイズルワースに撮影所を建設して、映画製作に乗り出している。パテ社にいたジョージ・ピアソンを監督に起用し、「緋色の研究」(1914)を製作。続いてピアソンは「シネマ・ガールのロマンス」の撮影にかかったが、第一次大戦の開始に目をつけて、フレッド・ポールという役者にドイツのカイゼル(皇帝)とイギリスの軍人ホレイショ・キッチナーの二役を演じさせた戦争実録「大いなるヨーロッパの悲劇」(1914)を大至急製作してヒットさせた。戦争映画のはしりと言われている。

 続いてサミュエルソンは、「ロバーツ卿の生涯」「シネマ・ガールのロマンス」(1914)を完成させている。



(映画本紹介)

「世界の映画作家32 イタリア映画史/イギリス映画史」(キネマ旬報社

 イタリアとイギリスの草創期から1970年代までの歴史の把握には最適の1冊。
 古本屋などで探してみて下さい。