キーストン時代のチャップリンの作品「ノックアウト」

 ファッティがその巨漢を買われて、ボクシングのチャンピオンに挑戦することになるが、試合はめちゃくちゃな展開になり、警官まで出てくる騒動となる。

 この作品は、日本では「デブ君」の愛称で人気だったというロスコー・“ファッティ”・アーバックルが主演の作品。他のチャップリン作品よりも長めなのは、アーバックルの人気が確立されていたからだろうか?

 チャップリンはボクシングのレフェリー役で3分しか出演しないが、強烈な印象を残す。間が悪くてレフェリーなのに殴られたり、殴られたことに怒って、殴った相手を蹴り飛ばしてダウンさせたりとチャップリンの独壇場となる。また、リングに座ったままロープを手で引っ張って移動するのは、アーバックルのコメディ演技の動きが基本的に「普通」であるのに対し、チャップリンはシュールな動きで笑いを誘う。

 アーバックルの作品をあまり見ることができない日本では、この作品は貴重で、アーバックルの巨漢を売りにしたパワフルな動きと、それに振り回されるキーストン・コップたちのドタバタを楽しむことが出来る。チャップリンのような至芸を楽しむことはできないとしても。


(DVD紹介)

チャップリン・ザ・ルーツ 傑作短編集・完全デジタルリマスター DVD-BOX

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チャップリン DVD-BOX 涙と笑いの玉手箱~初期傑作集~

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