キーストン時代のチャップリンの作品「新米雑役夫(新米用務員)」
雑役夫として働くチャーリーだが、やることなすこと失敗ばかり。だが、従業員の1人が金庫の金を盗み、それを目撃した秘書を襲うところにチャーリーが駆けつけ、秘書を助け出す。
この作品は、キーストン時代のチャップリン映画の傑作だと私は思っている。この映画には、これまでにはないストーリーがあり、編集もまた見事だ。ストーリーを語るために、チャップリンは自分の出ないシーンにも時間をかけている。これまで、自らの主演作ではほとんど出ずっぱりだったチャップリンが、自分が少し引いてでもストーリーを語っている。
また、窓掃除をするシーンで、窓から外に落ちそうになったチャーリーを建物の中から映したショットと、外から映したショットを組み合わせることで、空間的な広がりも見せてくれる。演出の面でも、これまでにない作品となっている。
肝心のパントマイムも絶好調だ。ゴミ箱の中身を全部こぼしてしまうシーン。前述の窓から落ちそうになるシーン。階段から降りる途中で転んでしまうシーン。金を盗んだ従業員から拳銃を奪いとる素早い動き。相手に銃を向けながら電話をしようとして、受話器ではなく電話本体の方に話しかけてしまう細かいギャグ。チャップリンの動きはこれまでにないくらい凝縮された見事さを誇っている。
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