ウィリアム・S・ハートの作品「THE BARGAIN」

 製作国アメリカ ニュー・ヨーク・モーション・ピクチャー製作、パラマウント・ピクチャーズ配給
 監督レジナルド・ベイカー 製作・脚本ウィリアム・S・ハート 脚本ウィリアム・H・クリフォード
 出演ウィリアム・S・ハート、J・フランク・バーク、クララ・ウィリアムズ

 強盗を働いたジム・ストークスは、追手に撃たれる。だが、通りがかりのブレントに助けられ、ブレントの娘ネルの看病で元気を取り戻す。ネルの愛に触れ、ネルと結婚することになったジム。改心したジムは強盗した金を返しに街へ向かうが、保安官に捉えられてしまう。

 インスの元で西部劇スターとして活躍したハートの長編デビュー作である。ハートが多く演じた「グッド・バッド・マン」のキャラクターが、純粋で単純な形で描かれた作品だ。作品を重ねていくごとに設定も凝り、映画全体に宗教劇のような重々しい字幕をつけたりと変化していくのだが、この作品では単純に「愛する女性と出会い、改心する」という形になっている。演じるハートが若く見える(といっても当時50歳!)ことも、ストレートな内容に合っている。

 ハートが改心していく過程にドラマを感じさせたりといった工夫はされていない。あくまでも表面をなぞっているだけという印象だ。それでも、1914年当時においては大作の部類に入る「THE BARGAIN」には、「グッド・バッド・マン」がしっかりと隠れている。