エッサネイ時代のチャップリンの作品「チャップリンの失恋」
強盗に襲われたエドナを助けたチャーリーは、エドナの父親が経営する農場で働くことになる。エドナを襲った強盗たちは、今度は農場を襲う計画を立て、チャーリーに手引きを依頼する。チャーリーは引き受けるが、それはやってきた強盗を追い払い、エドナにいい所を見せるためだった。見事、強盗を追い払ったチャーリーだが、エドナには恋人がいることを知り、一人さびしく去っていくのだった。
私たちがイメージするチャーリー像はこの映画から本格的に始まった。1人の女性を愛し、そのために尽くすチャーリー像はこの映画で過不足なく描かれていく。チャップリンはこの後、まるでパラレル・ワールドのように様々なシチュエーションでこのチャーリー像を使っていくことになる(例外もあるが)。これまでは、扮装は同じでも中身は様々だったが、見た目と中身が同一のチャーリーが誕生したといえるだろう。
ラストも、恋に破れて1人さびしく去っていくチャーリーの後姿というこの後多用されるもので、その後姿にはチャップリン映画を語るときの決まり文句であるペーソス(哀愁)が見事なまでに漂っている。
それだけではなく、農場で仕事をするシーンではホーク(巨大なフォーク状の農具)を使ったギャグで笑わせてくれるし、同僚の足の臭さを扱ったギャグもおもしろい。
チャップリンはいよいよその本領を発揮し出した。
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