カーレム社の作品「THE HAZARDS OF HELEN : EPISODE 13」

 カーレム社製作

 当時流行していた連続映画の1つ。主人公のヘレンは、エピソードごとにさまざまな仕事についている。そこで起こるトラブルを、ヘレンが体と勇気と知恵で乗り越えていくというもの。エピソードごとにつながりはあまりなく、パラレル・ワールドのような感じらしい。

 私が見た他のエピソード(EPISODE26)でも、自ら機関車に乗り込み暴走を止めるという、男性の役割ともいえる活躍を見せていた。このエピソードでは、橋の上から走行中の貨物列車に飛び乗ったり、列車の屋根の上を舞台にして走ってくる男をタックルで倒すなどの危険なスタントを見せてくれる。また、逃げる泥棒が少しよろめいて、列車から落ちそうになるなど、当時の危険な撮影の現場を感じさせる作品だ。だが、それゆえの躍動感も感じられる。

 ちなみに、主人公のエレンは駅の電信オペレーターの仕事を、強盗に襲われたことが理由で、別の男性と交代させられる。このあたりに、当時の女性の労働の現実の反映を見ることができるという指摘もある。