カーレム社の作品「THE HAZARDS OF HELEN : EPISODE 26」

 カーレム社製作

 当時流行していた連続映画の1つ。主人公のヘレンは、エピソードごとにさまざまな仕事についている。そこで起こるトラブルをヘレンは体と勇気と知恵で乗り越えていくというもの。エピソードごとにつながりはあまりなく、パラレル・ワールドのような感じらしい。

 1914年から始まったこの連続映画は、途中でヒロインのヘレン役の女性の交代がありながらも1917年まで続き、エピソードの数は合計で119にもなる。

 暴走する機関車という設定はそれほど新しくもないのだが、それを止めるためにヒロインが活躍するという設定は珍しい。機関車が疾走する映画は多々あるが、女性がみずから機関車を止めるためにバイクで疾走し、機関車に飛び乗るという作品はあまりない。その役割は男性が果たしていた。同時期に人気を博した連続映画である「ポーリンの危難」(1914)を見ても、危機を救うのはたいていポーリン自身ではなく、ポーリンの恋人の役割だ。

 カーレム社は、「女性レポーターもの」「女性探偵もの」といった女性の活躍を描いた作品を売り物にしていたのだという。この作品も、カーレム社の基本路線に従った1本ということなのだろう。