エッサネイ時代のチャップリンの作品「チャップリンのカルメン」
「カルメン」のパロディ作品。チャップリンはドン・ホセを演じ、エドナ・パーヴィアンスがカルメンを演じる。
1915年公開のセシル・B・デミルによる「カルメン」のヒットから企画されたもの。セットやストーリー展開など驚くほどデミルの「カルメン」そのままだ。似ているというレベルではなく、そのままといってもいい。
この頃のほかのチャップリン映画と比べて長尺のこの作品は、「カルメン」の人気から、会社側の意向でかなりの金をかけられて作られたという。しかし、チャップリン自身はどれほど気を乗せて製作したのかはわからない。
おもしろい出来とはなっていない。元々悲劇の「カルメン」をストーリーそのままでパロディとすることに無理が感じられる。ドン・ホセは成り行きで同僚の兵士と戦うこととなるのだが、どんなに途中でギャグを入れても、最後にはドン・ホセは兵士を殺さなければ話は進まない。そのギャップをこの作品は埋められないまま終わる。
ラストは、ドン・ホセがカルメンを殺し、自らも死を選ぶ。このラストをパロディとするために、なぜか2人が生き返って終わりという展開になっている。別に生き返ってもいいのだが、とりたてて面白くもない。
エッサネイ時代のチャップリン映画最大の失敗作といってもいいだろう。
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