エッサネイ時代のチャップリンの作品「チャップリンの改悟(チャップリンの改心)」
刑務所から出所してきたチャーリーだが、金もなければ職もない。偶然、ムショ仲間と再会したチャーリーは、仲間の誘いで強盗をすることに。盗みに入った家で、エドナと出会う。エドナは2階には病気の母がいるから2階にだけは行かないで欲しいという。それを無視しようとするムショ仲間だが、チャーリーはそれを止める。警察がやってくるが、エドナはチャーリーのことは夫と嘘をついて逃がしてやる。
ペーソス(哀愁)と皮肉の面で、この作品もエッサネイ時代のチャップリン映画の集大成とも言える作品になっている(実質的にこの作品はチャップリンによるエッサネイ時代の最後の作品となる)。刑務所から出てくるが偽牧師に騙されるチャーリー、盗みに入るがそこで人情にほだされるチャーリー、「こんなことをしてちゃいけない」と改悟して去っていくチャーリー(一本道を歩いていくチャーリーの後姿という、有名なラストで映画は終わる)と、一種の人情話としての機能を果たしている。
また、木賃宿のセットが素晴らしい。出てくる人たち(やせ細って咳き込む男や、泥棒など)も、いかにも底辺に生きる人という感じがする。チャップリンがパントマイムだけではなく、映画全体を構成するために、セットや傍役に気を払っているのがわかる。
まるでこれまでのチャーリーが映画の中で行ってきた数々の悪行を改悟するかのようなこの作品を最後にチャップリンはエッサネイを去り、ミューチュアルで我々の知るチャーリーを完成させることとなる。
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