バスター・キートン出演作「結婚」
原題His Wedding Night 製作国アメリカ
コミック・フィルム製作 パラマウント・ピクチャーズ配給
監督・脚本・出演ロスコー・アーバックル 出演バスター・キートン アル・セント・ジョン
バーで働いているファッティは、店主の娘と結婚することになっており、ドレスも運ばれる(運んでくるのがキートン)。しかし、恋敵のアル(アル・セント・ジョン)は、娘を誘拐しようとする。娘と間違って、ドレスを運んできたキートンを誘拐したアル。追うファッティ。それを追う娘。最後は、アルはつかまり、ファッティは娘と結婚する。
途中に、御決まりのパイ投げの要領のドタバタをはさみながら、心地よいコメディが展開される。運んできたドレスを何故かキートンが自分で着てみるシーンは脈絡がないが、アーバックルのコメディに脈絡は要らない。また、途中でアーバックルはクロロホルムを使って、若い女性客にキスをしたりとモラルに欠けるが、アーバックルのコメディにモラルはいらない(ちょっとやり過ぎの感もあるが)。
ちなみに、チャップリンとアーバックルの資質を比較するのに丁度いいギャグがある。それは、カクテルをシェイクするギャグだ。チャップリンは、「チャップリンのスケート」(1916)で腕だけを小刻みに痙攣するように揺すってシェイクするギャグを見せる。対して、「結婚」のアーバックルは、全身を使い、白目もむかんばかりに身体を揺すってシェイクする。チャップリンの方が洗練された芸だとすると、アーバックルの方はかなり荒っぽい。しかし、どちらもおもしろい。
キートンは冒頭で、頭にドレスの入った箱を載せて自転車を運転するという「技」を見せてくれる(キートンは「芸」では「技」の人だ)。そして、そのまま柵に突っ込み、ひっくり返ってみせる。キートンらしいおもしろさがやっと見えてきた。
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