ダグラス・フェアバンクス主演作「WILD AND WOOLLY(ドーグラスの蛮勇)」

 ダグラス・フェアバンクス・ピクチャーズ製作 アートクラフト・ピクチャーズ配給
 監督・脚本ジョン・エマーソン 脚本アニタ・ルース 出演ダグラス・フェアバンクス

 東部の鉄道王の息子ジェフは、西部に憧れている。アリゾナへ調査に向かうことになったジェフは大喜びで、カウボーイの格好で向かう。一方、アリゾナで迎える人々はジェフに気に入ってもらえるようにと、西部の町並みや生活を再現してジェフを迎える。

 ストーリーがよく練られたコメディである。当時のコメディは、チャールズ・チャップリンバスター・キートンに代表されるようなスラップスティックや、早回しやストップモーションなどの映像トリックを使ったものが多かったことを考えると、この作品の特異さが際立つ。

 荒々しい西部への幻想を抱くマッチョな主人公は、ダグラス・フェアバンクスにぴったりだ。後の「奇傑ゾロ」(1920)のような作品では、マッチョが完全に肯定されているが、この作品ではからかいの対象となっている。

 この頃のフェアバンクスの作品は、作品によってウィットに富んでいながらも、フェアバンクスのマッチョな魅力を見せていたと言われる。そして、その功績は脚本を担当しているエマーソンとルースのコンビにあるという。他のエマーソンとルース脚本、フェアバンクス主演の作品も見てみたくなった。アクション・ヒーローとしてではないフェアバンクスの映画を。