映画評「MIDNIGHT AT THE OLD MILL」

 製作国アメリカ キング・ビー・ストゥディオズ製作
 監督アーヴィッド・E・ギルストローム 出演ビリー・ウェスト、オリヴァー・ハーディ

 ビリーは、ホテルのポーター、料理人、掃除夫の役を1人でこなさなければならなくなる。

 主演のビリー・ウェストは、チャールズ・チャップリンの模倣者として短編コメディに出演した人物である。本当にそっくりで、予備知識なしで見たら区別がつかないかもしれないくらいだ。

 入浴する女性を覗き見するといった好色さは、キーストン社で活躍していた頃のチャップリンのキャラクターを思わせる。チャップリンが演じたキャラは初期の暴力的・好色的なものから、人情やペーソスを押し出したキャラクターへと変化していく。この変化を好まない観客も多くいたようで、そうした観客にとってはウェストが演じるキャラクターは、たとえ偽物でも楽しむことができたのだろう。

 チャップリン映画との最大の違いは、映像トリックを使っていることだろう。ビリーが駅からホテルへ荷物を運ぶ。途中でビリーは転んでしまうが、荷物はホテルに転がっていき、きちんと整列してくれる。ここでは、ストップ・モーションを使った映像トリックが使われているが、チャップリン映画がこの手の映像トリックに頼ることは原則として無い。