映画評「嵐の夜」

 製作国アメリカ 原題「THE SCARLET CAR」
 ユニヴァーサル・フィルム・マニュファクチュアリング・カンパニー製作・配給
 監督ジョゼフ・デグラース 出演フランクリン・ファーナム、エディス・ジョンソン、ロン・チェイニー

 銀行に勤めるフォーブスは、経営陣の不正に気付くも、告発する前に殴り倒されてしまう。死んだと思われたフォーブスだが、実は生きており町外れの小屋にいた。フォーブスの娘と恋人はフォーブスを見つけ、経営陣の不正を暴く証拠のメモをもらおうとするが、フォーブスはショックで気が触れていた。

 フォーブスは、アメリカ独立戦争の際の英雄ポール・リビアの子孫という設定である。フォーブスもそのことを誇りに思っており、気が触れたフォーブスは、自分が独立戦争の時代に生きていると思い込んでいる。全体的なストーリーは、ちょっとしたサスペンスなのだが、ポール・リビアの子孫というスパイスが映画に特徴を与えている。

 ストーリーの工夫だけではなく、フォーブスを演じるロン・チェイニーのなりきり演技ぶりが、「ポール・リビアの子孫」というスパイスを活かしている。フォーブスが登場する時間は短いのだが、映画の中で最も印象的な存在だし、フォーブスの存在がなければ印象に残る部分は少ないことだろう。