バスター・キートン出演作「グッドナイト・ナース」

 原題「GOOD NIGHT, NURSE!」 製作国アメリ
 コミック・フィルム製作 パラマウント・ピクチャーズ配給
 監督・脚本・出演ロスコー・アーバックル 出演バスター・キートン アル・セント・ジョン

 アル中のファッティは、豪雨の中知り合った大道芸人たちを、酔っ払って家に連れて帰ってしまう。妻はそんなファッティに我慢しきれずに、ファッティはアル中を治す施設へと入れられる。そこには、キートン演じる外科医やアル・セント・ジョン演じる看護士がいる。抜け出したファッティは、街の太っちょばかりを集めたレースの先頭に偶然立ち、優勝してしまう。

 「グッドナイト・ナース」では、ファッティが施設から逃げ出した後のアナーキーさが大きな魅力となっている。混沌は枕を投げ合い羽毛が舞い散る画面などにも現れているが、それよりもスピードの速さがアナーキーさを助長している。ただスピードが速いだけではなく、見せるところは見せるというメリハリも利いている。ラスト近くで、逃げるファッティをキートンらが追いかけるシーン(途中で倒れている太っている人物を1人ずつ確認する)は敢えてカメラを引いて見せることで、滑稽さが生まれている。

 この作品でもキートンは魅力的だ。エプロンを血で真っ赤に染めた無表情の外科医は不気味で、画面をかっさらっている。

バスター・キートン短篇全集 1917-1923 [DVD]

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