「SHOOTIN' MAD」 ギルバート・M・アンダーソン監督・出演作

 製作国アメリ
 ゴールデン・ウェスト・フォトプレイ社製作
 ウィリアム・L・シェリー・サービス、フィルム・クリアリング・ハウス配給
 製作・脚本・主演ギルバート・M・アンダーソン

 アンダーソンは、「ブロンコ・ビリー」のキャラクターで多くの短編西部劇を製作・主演したスター兼映画製作者である。1916年に1度映画界から引退したアンダーソンだったが、1918年にゴールデン・ウェスト・フォトプレイ社を設立して、再びブロンコ・ビリーを主役にした映画を製作していた。ちなみに、私が見たのは再編集された30分の作品だが、オリジナルは5巻もので1時間以上の作品だったという。

 ある父親と娘が西部の街に入植にやって来る。街を仕切っている酒場の主人は、父親を殺害して娘を我が物にしようとする。そこに、この土地にやってきていたブロンコ・ビリーが助けに入る。

 物語は分かりやすいほどで、捻りに欠ける。これがオリジナルもそうだったのか、カットされたためなのかはわからない。

 コメディ的な雰囲気のシーンもあり、主人公のビリーを頼りがいがあるが、お茶目な面もあるというキャラクターとして描きたいのではないかと思える。だが、数年前の作品と比べて少し太ったようにも思えるアンダーソンの演技は過剰で、滑稽にしか見えないように思える。

 時代は徐々に長篇へと移っていた。多くのサイレント・コメディのキャラクターが消えていったように、ブロンコ・ビリーのキャラクターも長篇の波には乗れずに消えていってしまった理由が、この作品を見ると少し分かるような気がする。