映画評「THE LADY OF THE DUGOUT」

 製作国アメリカ アル・ジェニングス・プロダクション・カンパニー製作 アーネスト・シップマン配給
 監督・脚本W・S・ヴァン・ダイク二世 製作・出演アル・ジェニングス 撮影デヴィッド・エイベル
 出演フランク・ジェニングス、ベン・アレクサンダー、ジョセフ・シングルトン、カール・ストックデール

 かつて銀行強盗や列車強盗を働いていた兄アルと弟フランクのジェニングス兄弟は、今は伝道師になっていた。アルはかつて起こった出来事を語る。飲んだくれの夫に困り果てた女性を助けるために、アルとフランクは銀行強盗を行ったのだった。

 アルとフランクのジェニングス兄弟は、実際に強盗団を組織して刑務所にも入所したことのある人物だった。自身の体験談という形で映画を製作していこうと考えたアルが、自身のプロダクションで主演も務めて作られたのがこの作品である。興行的には成功しなかったというが、犯罪者が、自らの犯罪を、自ら映画化したという点で、貴重な作品である。

 ジェニングス兄弟は義賊のように描かれている。若きヴァン・ダイクの演出も、兄弟が馬に乗って去る姿をシルエットで描くなど、カッコよく描かれている。ストーリーもテンポよく進み、アル・ジェニングスの自己顕示欲から生まれた作品かもしれないが、娯楽作として楽しめる作品となっている。